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「子どもの権利条約」25周年 記念連載⑤~守られる権利~

2014.12.20

子どもの権利条約25周年記念連載では、これまで「育つ権利」「参加する権利」「生きる権利」の3つについて紹介してきました。最終回となる連載⑤は、「守られる権利」についてです。


子どもはあらゆる暴力、ネグレクト(育児放棄)、搾取などから守られる権利があり、また国は子どもを守る義務がある、と子どもの権利条約は規定しています。しかし、世界を見渡すと、人身取引、児童労働、子ども兵士、子どもの性的搾取といった、守られる権利の侵害にあたる問題がいまだ多く存在しています。そのため、守られる権利は近年ますます重視されるようになり、様々な分野で権利の実現のために対策が進められてきました。

法的な枠組み

国際法の分野では、守られる権利を補完する2つの法律が、2000年に子どもの権利条約に加えられました。「子どもの売買、子どもの買春及び子どもポルノに関する選択議定書」 「武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書」は、加盟国が、子ども兵士と子どもの性的搾取などの問題について、一層の対策をとることを義務付けており、守られる権利の前進に貢献しています。

経済の枠組み

危険な労働に従事する子ども(アルバニア)

経済の分野でも、守られる権利は重要な役割を示すことが認められるようになってきています。ワールド・ビジョンが行った調査は、児童労働の蔓延が経済を停滞させる可能性が高いことを明らかにしました。未来の経済の担い手である子どもの多くが、児童労働によって教育機会を奪われ、心身の健全な成長を妨げられることで、長期的に国の人的資本を低下させ、結果として経済成長を妨げるのです。

世界の経済課題が議論される場であるG20で、ワールド・ビジョンは、児童労働はもはや人権侵害だけの問題ではなく、経済成長の観点からも重要な課題として扱われるべきだと主張しました。その結果、G20のに児童労働への対策が記載されることとなりました。子どもが守られる権利を無視しては持続的な経済成長は成り立たない、ということが世界中で認識され始めるようになったのです。

開発の枠組み

2014年国連総会を前に、NYの国連日本政府代表部に提言を提出する柴田スタッフ(左)

また、2015年を期限とするミレニアム開発目標の後続となる2030年を期限とするポスト2015開発アジェンダの原案では、子どもへの暴力撤廃が重要な項目の一つとして記載されています。

未来の社会の担い手である子どもが、日常的に暴力にさらされ搾取されるような状況では、国の開発を進めることなどままならない、ということが世界で理解を得られるようになってきたためです。

ワールド・ビジョンは、子どもへの暴力撤廃がポスト2015開発アジェンダの重要テーマの一つとなるよう、世界の政府に対して要望してきました。2014年の国連総会の時期に、ワールド・ビジョン・ジャパンも日本の国連政府代表部に対して、子どもへの暴力撤廃が開発目標の一つとして注力されるように提言を行いました。

一方で、子どもが守られるためには、教育や収入向上を含めた子どもを取り巻く環境の改善も重要です。いくら暴力を取り除いたとしても、子どもが教育を受けられず、家族が生計をたてる手段がなくては、子どもが児童労働に従事せざるを得なくなるなど、守られる権利が再び侵害される可能性が高くなります。

ワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップは、地域全体の環境を総合的に改善する活動を長期にわたって行い、子どもが守られる環境の実現を目指してきました。

"子どもの権利"についての記事が必要なくなる日

母親に抱かれ微笑む子ども(アフガニスタン)

子どもの権利条約25周年記念連載の最終回として、守られる権利について紹介しました。未来の社会の担い手である子どもが健やかに成長していくには、「生きる権利」、「育つ権利」、「参加する権利」、「守られる権利」の全ての権利が満たされることが必要です。子どもの権利が世界中で守られる日が実現するため、日本から私たちができることは何があるでしょうか?

25周年をきっかけとし、私たち一人一人が何か行動をとっていくことは重要です。たとえ小さな一歩であっても、私たちが行動をとり続けることで、30周年、40周年を迎える日か、あるいはもっと先になってしまうのかもしれませんが、いつか子どもの権利についての記事が必要なくなる日が来ることを願ってやみません。